育児休業を取る イクメンの星 座談会

仕事をおろそかにせず育児もする「イクメンの星」達の本音トーク

子育てパパは仕事もできる!

安藤
皆さんの共通点は、育児休業か短時間勤務を利用した経験があり、奥様が働いていることですが、子育てを何年かやってみて、こんなことが仕事にプラスだったよとか、こういう明らかな成果が出たよ、ということがあったら、お聞かせ下さい。
リスク管理ができるようになりました。やはり子どもがちょっと熱を出しそうだなというのが何となくわかってきて、そうすると危険な日は打ち合わせを入れないように段取りしたりとか、早めに締め切りをお願いしたりとかするようになりました。
越智
私は、人を育てるのがうまくなったなというのがあります。育児短時間勤務をする前はばりばりのプレーイングマネージャーで、自分も手を動かして、部下にも厳しく指導していたのですが、子どもと触れ合うことで、自ら手を出さずに見守るということを覚えました。9月から通常勤務に戻り、それを職場でも実践するようにしたら、今まで私は人材育成の評価がいつも低かったのですが、そこも評価されるようになったり、実際に部下が伸びたお陰で私の時間も余裕が生まれて早く帰れるという好循環で回るようになりました。
安藤
まさに管理職の人材マネジメント能力にもいいということですね。確かに子育ては部下育てと共通点がいっぱいあって、待って育てる、あるいは褒めて育てるとか、兄弟がいたら片一方を叱るときは必ず1人にして叱るとか、実は部下をうまく管理するためにも非常に重要なことがいくつもあって、子どもは反応があからさまなので、知らず知らずにトレーニングができ、学習機会としては非常にいいですね。マネジメントにも活きるということはよく言われています。
中山
人の言うことをちゃんと聞くようになりましたね。子どもと接する中でも、子どもの言うことをずっと聞いてあげて、怒るときも感情的にならない。口調はきついけれども、冷静に次は何を言おうかとか、そういう感じが身についた気がします。部下からも穏やかになったと言われます。
新田
私も社員や取引先から、同じように丸くなったと言われることが多いです。これまで社員に対して結構厳しめなスタンスでやっていくことが多くて、何でやらないんだとか、どうなっているんだとか言っていたのですけれども、子どもとのコミュニケーションを応用すると、例えばテレビを見たいと言っている子どもに見るなと言っても聞かないので、今見ているテレビが終わったら終わりだからね、と約束をするというのを仕事にも活かして、こういう約束でやろうねと話をします。また部下に対するコーチングでは、私が何を言いたいのかわかる?というような温かなコミュニケーションが出来るようになりました。成長したポイントかもしれないです。
若山
勤務先は百貨店で、短時間勤務の女性職員の仕事を独身の女性職員が補っているケースが多いのですが、そのフォローは、女性の育児経験者が言うより、私が自分の育児体験に基づいて男性の目線で言うと角が立つことが少ないです。後輩にも是非そういう姿勢でやって欲しいと思っています。

交渉とコミュニケーションで良い先進事例をつくる

写真
安藤
両立する上で職場に配慮してもらっていることがもしあれば教えて下さい。
中山
前の職場では、制度も前例もなかったのですが、朝7時半ぐらいに出勤して5時前に帰る勤務を認めてもらっていました。
安藤
それは自分で折衝したんですか。
中山
そうです。お客さんからクレームが来る部署ではないのですが、それでも、他の社員がまだいる中、5時前に退勤するのは引け目がありましたが、そこはある意味、優遇されたのかなと思います。
若山
上司が変わった際に、今こういう状況で育児をやっているんだということは先に報告をするようにしています。あとは一緒に仕事をしている同僚とはできるだけ情報共有をして、自分が会議等に出られなくなっても代わりに出てもらえるように工夫しています。
安藤
言ってみるものですね。育児を本当にやりたいのだったら、タフ・ネゴシエーターであれ、と言える。制度があったって使いづらい会社はいっぱいあるわけですから、しかるべき上司に先手必勝で言っておくことがすごく重要。それがいい先進事例になって、後に続く後輩たちも助かるということが起きればいいなと思います。
越智
とにかく先に言うことは大事ですね。自分は短時間なので何時に帰ります、でもメール対応はしますと、初めにあらかじめ伝えておくことで、周りの人もやりやすくなりますし、自分もストレスを抱え込まなくていいので、それが一番大事ではないかと思います。また、私はマネージャーで妻が派遣社員なのですが、私の方が時間の都合がつきやすいので、急に保育園から呼び出しがあった場合は私が迎えに行くというルールを作っています。
新田
私の場合はイクメンのブランドを最大限に利用していまして、取引先に私はイクメンですと言い、夜の打ち合わせはできませんと言ってしまっていまして、ミーティングはランチミーティングにしてもらっています。
安藤
自分のルールをきちんと情報公開しておくことは、ワーク・ライフ・バランスをキープする上でも非常に重要かと思います。その他に、後輩たちに残していきたいノウハウはありますか。
越智
就活中の大学生や若手の新入社員に対しては、まず会社である程度実績を積んで、今までも頑張ってくれているし、という信用を得て欲しいと思います。
安藤
私も全く同じことを、結婚していない男性に言います。一生懸命に働けるのは今のうちだから、そこで実績を何でもいいからトップをとっておくように言っています。ワーク・ライフ・バランスは勝ち取るもので、待っていてもこない。本来は誰でも使えるようになっていなければいけないけれど、まだ日本の企業社会はそうではない。

宿泊出張や残業対策はどうしてる?

安藤
では、次に、そうは言っても仕事はいろいろあって、例えば宿泊を伴う出張があったり、深夜までの残業などもあると思いますが、具体的な処方をお聞かせ下さい。
福井
私は結構、海外出張や国内出張に行くのですが、国内出張は基本的に月金にして、土日を絡めて妻に子どもを連れて来てもらい、そのまま家族の旅行にしてしまうとか、そういったことはやっています。家族に何とか絡めながら、自分の仕事もうまくいけばいいかなと。
安藤
旅行をつける形で免罪符にするわけですね。
新田
私の場合は、シーズンのときは月の3分の2くらい出張になることがあるので、月末の段階でインターネット上のカレンダー機能で妻とスケジュールを共有して、妻の都合がつかない場合は、妻の実家に助けてもらったり、あとはベビーシッターを雇ったり、使えるものは全部使ってやっているという感じです。
安藤
私も年間200回くらい講演があるので、大体50日くらいは地方出張です。そこで気をつけているのは、行った先で美味しいものを食べた話を家で絶対にしないことです。その代わり、旅先では、ちょうど帰ったころに着くようにお土産を宅急便で送っておいて、今日はみんなで(お土産の)カニで鍋をやろうよと言います。そうすると出張の免罪符がそこで生まれる。小さいテクニックですけれども、皆さんに伝授しておきたいと思います。
若山さんはお仕事が夜までありますが、どうですか。
若山
事務系の仕事なので、本当はあまりお勧めできないのですがメールを自宅に飛ばしたり、共有フォルダに資料を入れておいて、一度帰宅をして子どもを寝かしつけてから、また夜に仕事をしたり、使える道具はうまく使いながらやっています。出張なども事前にある程度分かっているので、両親なり妻の実家の方に、なるべく早めにお願いします。最近子どもが、ホワイトボードが欲しいというので買ってあげたら、パパのスケジュールを書くところを作られまして、朝、今日は8時までに帰るよと言うと、「8時に帰る」と書かれてしまうので、なるべく8時帰宅を目指して頑張っています。結構ごめんということも多いですけれども。そういう風に形に残されることによって、早く帰る動機づけになっています。

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