
男女とも仕事と育児を両立できるように、産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)の創設や雇用環境整備、個別周知・意向確認の措置の義務化などの改正を行いました。
1 雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化
●育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
育児休業と産後パパ育休(3参照)の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
※複数の措置を講じることが望ましいです。
- ① 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
- ② 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
- ③ 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
- ④ 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
●妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行わなければなりません。
※取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません。
周知事項 |
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個別周知 ・意向確認の方法 |
①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか 注:①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ。 |
※雇用環境整備、個別周知・意向確認とも、産後パパ育休については、令和4年10月1日から対象。
2 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和就業規則等を見直しましょう
現 行
(育児休業の場合)- (1)引き続き雇用された期間が1年以上
- (2)1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない
令和4年4月1日~
-
(1)の要件を撤廃し、(2)のみに
※無期雇用労働者と同様の取り扱い
(引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は労使協定の締結により除外可)
※※育児休業給付についても同様に緩和
3 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
4 育児休業の分割取得就業規則等を見直しましょう
産後パパ育休(R4.10.1~) 育休とは別に取得可能 |
育休制度 (R4.10.1~) |
育休制度 (現行) |
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対象期間 取得可能日数 |
子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能 | 原則子が1歳(最長2歳)まで | 原則子が1歳(最長2歳)まで |
申出期限 | 原則休業の2週間前まで※1 | 原則1か月前まで | 原則1か月前まで |
分割取得 |
分割して2回取得可能 (初めにまとめて申し出ることが必要) |
分割して 2回取得可能 (取得の際にそれぞれ申出) |
原則分割不可 |
休業中の就業 | 労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲※2で休業中に就業することが可能 | 原則就業不可 | 原則就業不可 |
1歳以降の 延長 |
育休開始日を柔軟化 | 育休開始日は1歳、1歳半の時点に限定 | |
1歳以降の 再取得 |
特別な事情がある場合に限り再取得可能※3 | 再取得不可 |
改正後の働き方・休み方のイメージ(例)
現 行
令和4年10月1日~
ピンク色の矢印が、今回の改正で新たにできるようになることです
- ※3
- 1歳以降の育児休業が、他の子についての産前・産後休業、産後パパ育休、介護休業または新たな育児休業の開始により育児休業が終了した場合で、産休等の対象だった子等が死亡等したときは、再度育児休業を取得できます。
育児休業等を理由とする不利益取り扱いの禁止・ハラスメント防止
育児休業等の申し出・取得を理由に、事業主が解雇や退職強要、正社員からパートへの契約変更等の不利益な取り扱いを行うことは禁止されています。今回の改正で、妊娠・出産の申し出をしたこと、産後パパ育休の申し出・取得、産後パパ育休期間中の就業を申し出・同意しなかったこと等を理由とする不利益な取り扱いも禁止されます。
また、事業主には、上司や同僚からのハラスメントを防止する措置を講じることが義務付けられています。
ハラスメントの典型例
- ・育児休業の取得について上司に相談したら「男のくせに育児休業を取るなんてあり得ない」と言われ、取得を諦めざるを得なかった。
- ・産後パパ育休の取得を周囲に伝えたら、同僚から「迷惑だ。自分なら取得しない。あなたもそうすべき。」と言われ苦痛に感じた。
5 育児休業取得状況の公表の義務化
従業員数1,000人超の企業は、育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられます。
公表内容は、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」です。取得率の算定期間は、公表を行う日の属する事業年度(会計年度)の直前の事業年度です。インターネット等、一般の方が閲覧できる方法で公表してください。自社のホームページ等のほか、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」で公表することもおすすめします。
① 労働者が就業してもよい場合は、事業主にその条件を申し出
② 事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない場合はその旨)
③ 労働者が同意
④ 事業主が通知
なお、就業可能日等には上限があります。
● 休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
● 休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満
例)所定労働時間が1日8時間、1週間の所定労働日が5日の労働者が、
休業2週間・休業期間中の所定労働日10日・休業期間中の所定労働時間80時間の場合
⇒ 就業日数上限5日、就業時間上限40時間、休業開始・終了予定日の就業は8時間未満
産後パパ育休も育児休業給付(出生時育児休業給付金)の対象です。休業中に就業日がある場合は、就業日数が最大10日(10日を超える場合は就業している時間数が80時間)以下である場合に、給付の対象となります。
注:上記は28日間の休業を取得した場合の日数・時間。休業日数が28日より短い場合は、その日数に比例して短くなります。
育児休業給付については、最寄りのハローワークへお問い合わせください。