以下が改正内容の主なポイントになります。 ※詳細は今後省令等で定められます。
Ⅰ:育児・介護休業法の改正ポイント
1 柔軟な働き方を実現するための措置等が事業主の義務になります
● 3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者に関する柔軟な働き方を実現するための措置
● 事業主が選択した措置について、労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
・テレワーク等(10日/月)
・保育施設の設置運営等
・新たな休暇の付与(10日/年)
※テレワーク等と新たな休暇は、原則時間単位で取得可とする。詳細は省令
の中から2以上の制度を選択して措置する必要があります。(※各選択肢の詳細は省令等)
② 労働者は、事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができます。
③ 事業主が措置を選択する際、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。
④ 個別周知・意向確認の方法は、今後、省令により、面談や書面交付等とされる予定です。
2 所定外労働の制限(残業免除)の対象が拡大されます
改正前
3歳に満たない子を養育する労働者は、請求すれば所定外労働の制限(残業免除)を受けることが可能改正後
-
●小学校就学前の子を養育する
労働者が請求可能に
3 育児のためのテレワークの導入が努力義務化されます
● 3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。
4 子の看護休暇が見直されます
改正前
【名称】●「子の看護休暇」
【対象となる子の範囲】
●小学校就学の始期に達するまで
【取得事由】
●病気・けが
●予防接種・健康診断
【労使協定の締結により除外できる労働者】
(1)引き続き雇用された期間が6か月未満
(2)週の所定労働日数が2日以下
改正後
【名称】●「子の看護等休暇」
【対象となる子の範囲】
●小学校3年生修了までに延長
【取得事由】(※詳細は省令)
●感染症に伴う学級閉鎖等
●入園(入学)式、卒園式を追加
【労使協定の締結により除外できる労働者】
●(1) を撤廃し、(2)のみに
(週の所定労働日数が2日以下)
5 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が事業主の義務になります
● 妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が事業主に義務づけられます。
・意向聴取の方法は、省令により、面談や書面の交付等とする予定です。
*子に障害がある場合等で希望するときは、短時間勤務制度や子の看護等休暇等の利用可能期間を延長すること
*ひとり親家庭の場合で希望するときは、子の看護等休暇等の付与日数に配慮すること
6 育児休業取得状況の公表義務が300人超の企業に拡大されます
● 従業員数300人超の企業に、育児休業等の取得の状況を公表することが義務付けられます。
(現行では、従業員数1,000人超の企業に公表が義務付けられています。)
・公表内容は、公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度(公表前事業年度)における次の①または②のいずれかの割合を指します。
男性労働者の数
配偶者が出産した
男性労働者の数
男性労働者の数
+
小学校就学前の子の
育児を目的とした
休暇制度を利用した
男性労働者の数
配偶者が出産した
男性労働者の数
・育児休業(産後パパ育休を含む)
・法第23条第2項(3歳未満の子を育てる労働者について所定労働時間の短縮措置を講じない場合の代替措置義務)又は第24条第1項(小学校就学前の子を育てる労働者に関する努力義務)の規定に基づく措置として育児休業に関する制度に準ずる措置を講じた場合は、その措置に基づく休業
Ⅱ:次世代育成支援対策推進法の改正ポイント
1 法律の有効期限が延長されました
令和7年(2025年)3月31日までとなっていた法律の有効期限が、
令和17年(2035年)3月31日までに延長されました。
・法律の期限延長にともない、くるみん認定制度も継続されますが、今後、省令により認定基準の一部を見直すこととしています。
2 育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定が義務付けられます
従業員数100人超の企業は、一般事業主行動計画策定時に次のことが義務付けられます。
(従業員数100人以下の企業は、努力義務の対象です。)
● 計画策定時の育児休業取得状況(※1)や労働時間の状況(※2)把握等(PDCAサイクルの実施)
● 育児休業取得状況(※1)や労働時間の状況(※2)に関する数値目標の設定
(※1)省令により、男性の育児休業等取得率とする予定です。
(※2)省令により、フルタイム労働者1人当たりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数等とする予定です。
・一般事業主行動計画の内容を変更しようとする場合も同様に状況把握、数値目標の設定を行う必要があります。
・施行日以降に開始(又は内容変更)する行動計画から義務の対象となります。
① 労働者が就業してもよい場合は、事業主にその条件を申し出
② 事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない場合はその旨)
③ 労働者が同意
④ 事業主が通知
なお、就業可能日等には上限があります。
● 休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
● 休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満
例)所定労働時間が1日8時間、1週間の所定労働日が5日の労働者が、
休業2週間・休業期間中の所定労働日10日・休業期間中の所定労働時間80時間の場合
⇒ 就業日数上限5日、就業時間上限40時間、休業開始・終了予定日の就業は8時間未満
産後パパ育休も育児休業給付(出生時育児休業給付金)の対象です。休業中に就業日がある場合は、就業日数が最大10日(10日を超える場合は就業している時間数が80時間)以下である場合に、給付の対象となります。
注:上記は28日間の休業を取得した場合の日数・時間。休業日数が28日より短い場合は、その日数に比例して短くなります。
育児休業給付については、最寄りのハローワークへお問い合わせください。