プロジェクトについてイクメンプロジェクトの活動紹介
イクメンプロジェクトの活動レポートをご紹介いたします。
- 2019.01.30「イクメンの星」による出前講座を東北大学で実施
- 2019.01.21「イクメンの星」による出前講座を名古屋学院大学で実施
- 2019.01.21「イクメンの星」による出前講座を明治大学で実施
- 2018.12.21「イクメンの星」による出前講座を信州大学で実施
- 2018.10.20「イクメンスピーチ甲子園2018」「イクメンフォト2018」を開催
- 2018.10.18「イクメン推進シンポジウム2018」を開催
- 2018.10.18パネルディスカッションを「イクメン推進シンポジウム」で実施
- 2018.09.07「ファザーリング全国フォーラムinひろしま」でセミナーを開催
「イクメンの星」による出前講座を東北大学で実施
第4回は東北大学にて実施しました。第14回「イクメンの星」齊藤良太氏にご登壇いただき、仕事と家庭の両立における自身の体験談についてお話しいただきました。
実施概要
■日時 2019年1月30日(水)8:50~10:20
■場所 東北大学
■講師 藤村 維子特任講師(東北大学男女共同参画推進センター)
齊藤 良太氏(第14回「イクメンの星」)
講座内容
前半では、藤村特任講師が「ジェンダーと人間社会」の講義を展開しました。近年、「男性は仕事、女性は家庭」という意識は変化しているものの、国際的にみると男女格差がまだまだ大きい日本。出生率にも深く関わるこの状況を藤村特任講師は「危機的」と表現し、ノルウェーにおけるクォータ制導入、イギリスの科学技術分野における男女共同参画の認証制度など各国の成功事例を具体的に紹介しました。
続いて、齊藤氏が登壇し、3人の父親であるイクメンとして、どのように育児に参加してきたかを語りました。現在は仙台に暮らし、3つの会社を経営している齊藤氏。10年前に最初の子どもが生まれた当時は東京在住で、会社員として勤務していました。共働きでしたが、夫婦ともに仙台が実家であったために親のサポートも得られず、「子育てには不安しかなかった」といいます。
不安解消のために活用したことは、行政サポートや地域のコミュニティ。
「住んでいた江東区では子育て家族のための複合施設が充実していて、父と子のワークショップなどに積極的に参加していました。地元コミュニティでもつながりを広げ、親子マラソンやフットサルチームなどを通じて親同士の情報交換も楽しむようになりました」
さらに、地域に貢献しようと「おやじ防犯パトロール隊」にも参加。子育てを通じて自分自身の意識が変化していった様子を語りました。
そんな齊藤氏ですが、実は育児休業は取得していません。その理由は「職場環境が整っていたので、取る必要がなかった」からとのこと。
「勤務先ではフレックス制が導入されていて、時間に縛られない働き方ができるので、毎朝、子どもを保育園に送る係は僕でした。お迎えも、週に2、3回行っていました。皆さんも、就職をする際には子育てに理解がある会社を選ぶことをおすすめします」と、笑顔で学生たちに向けてアドバイスしました。
最後に語ったのは、子育てをすることによるメリット。齊藤氏が学生たちに向けて「『自分のお父さんとお母さんは仲がいい』っていう人、何人いますか?」と呼びかけると、2割ほどの学生が手を挙げました。
「結構いますね。子どもと真剣に向き合って育てていこうとするお父さんは、奥さんとの関係も良いのではないかと思います。僕と奥さんは、出会った日から今まで、愛の形は変わりません。そして、子どもとの信頼関係も深いと感じています」
さらに、会社に対して「こんなにいい環境を整えてくれている」という実感があることで、「心の底から貢献しなければ」という想いが強くなり仕事をがんばる。実績が上がり評価が高まり、昇進。良い循環が生まれたと言います。そしてその後に起業することで社会への貢献も目指す今、「これから大きくなっていく子どもたちの未来を担うプラットフォームに、自分自身がなりたい」と目を輝かせました。
「男性が育児に参加することは難しくない、ということを覚えておいてください。本当に男女問わず、メリットしかありません」という齊藤氏。「社会・会社・コミュニティで助けてもらったら、助ける・尽くす。家族にも自分にも、必ずそれはポジティブな効果で返ってきます。将来、子どもができたら、そういえばこんなことを言っていたなと思い出し、積極的に育児に参加してもらえたらと思います」と、力強く暖かいメッセージを送ってくれました。
授業終了後の学生のコメントカードには、「実際に育児に積極的に参加してきた男性の話を聞くことができて、男性の育児参加がどのようなものなのかを具体的にイメージすることができてよかった」「自分も将来、仕事のスキルを犠牲にすることなく育児に参加していきたいと思っているので、そのロールモデルとなる方のお話を伺えたのは良い経験となった」「自分は将来、結婚したら、積極的に育児や家事に関わりたいと思っているので、そういった思いを叶えられる環境が整っている企業に就職したい」など、齊藤氏の講義に感銘を受けたコメントが多数寄せられました。
「イクメンの星」による出前講座を名古屋学院大学で実施
第3回は名古屋学院大学にて実施しました。第20回「イクメンの星」大沼 優斗氏にご登壇いただき、仕事と家庭の両立における自身の体験談についてお話しいただきました。
実施概要
■日時 2018年12月11日(火)9:10~10:40
■場所 名古屋学院大学
■講師 玉川 貴子 氏(現代社会学部 准教授)
大沼 優斗 氏(第20回「イクメンの星」)
講座内容
はじめに玉川准教授が「家族社会学講義」として、日本における少子化社会の基礎知識や現状を解説します。戦後から始まった少子化の歴史、その原因とされている様々な理論、各国との比較などによって、日本が抱える課題が浮き彫りに。
「日本は育児へのサポートが低い国として挙げられますが、今後は変わっていくかもしれません。状況を打破するような試みをされている方に、これから講義をしていただきます」と紹介されながら、大沼氏が登壇。「こういった場で話すのは初めてなので…」と、やや緊張しながらも「自分は最初のゆとり世代になります」などと親しみやすい自己紹介を始めると、学生たちは和やかな雰囲気に包まれました。
これまで2度にわたって育児休業を取得している大沼氏。そのきっかけは「家庭内において『コールドスタンバイ』の状態をつくるため」と、理系のイクメンらしい表現で語ります。コールドスタンバイとは、コンピュータなどの障害対策の手法のひとつで、サーバやネットワーク機器について、まったく同じ構成の予備のマシンを電源を入れずに待機させておくこと。
「つまり、バックアップのようなものです。女性側、男性側の両方に『仕事』『家事』『育児』という3つのサーバが必要であり、各々がすべてできる状態にしておきたいと思いました」
大沼氏の育休取得により、まずは夫婦にとって初めての「育児サーバ」をそれぞれ構築。そして、いったん離職していた妻の「仕事サーバ」も復帰。こうして、それぞれが「仕事」「家事」「育児」ができる万全の体制を完成させたという経緯に、学生たちは真剣に聞き入ります。また、職場では育休取得のために業務のマニュアル化や効率化を進めたが、これは上司の理解があったからこそ実現できた、とも。
「職場にイクボスがいることはとても大切。将来、育児休業を取りたいと思ったら、そういう男性がいて、制度が整っている会社を選んでください」と、学生たちにメッセージを送りました。
そもそも大沼氏が「イクメンの星」に応募したきっかけは、第一に男性の育児休業を普及するため。そしてもう一つは、自身がもつ先天性下肢障がいによって受けた差別など、社会の矛盾を解消したかったからとも語ります。
「男性の育休と、障がい者の支援。どちらも『制度をつくったから、それでいい』ということではない。理解して利用する人がいなければ意味がないので、現状を変えたいと思っています」
そんな想いで続けている育児の日々で、視野が広がり考え方が柔軟になったことや、子育てをサポートしてくれる地域の高齢者の活動に触れ、自身も生き生きとした老後を楽しみたいと考えるようになったことを笑顔で語りました。
質疑応答の時間では、男子学生から「男性が育児休業を取るために、まずは環境をつくる必要があると思っていた。今日は自分の考えが正しいことがわかりました」と力強い感想がありました。玉川准教授は最後に「将来、育休を取りたいというときにすごく参考になる話でした。皆さんが、自分も子育てをするという意識を持ってくれたらと思います」と、温かい言葉で締めくくりました。
授業終了後の学生のコメントカードには、「将来、自分が子どもを育てるときの参考になった」、「就職活動する時に、子育てしやすい就職先かどうかも視野に入れたうえで決めたい」、「社会全体で子育てを行うという認識がもっと浸透していってほしい」など、自身の将来の仕事と家庭の両立に関するコメントが多数寄せられました。
「イクメンの星」による出前講座を明治大学で実施
第2回は明治大学にて実施しました。第17回「イクメンの星」難波 圭介氏にご登壇いただき、仕事と家庭の両立における自身の体験談についてお話しいただきました。
実施概要
■日時 2018年12月10日(月)10:50~12:30
■場所 明治大学
■講師 鈴木 賢志 氏(明治大学 国際日本学部 教授)
難波 圭介 氏(第17回「イクメンの星」)
講座内容
「僕も民間で働いていたけれど昔の話なので、今の現場について新しい視点で聞きたい」という鈴木教授の言葉で講義がスタート。まずは難波氏が自身の体験談を語りました。
もともとは同じシステム会社に勤め、現在は起業している妻は「とても活動的で破天荒な人」。その妻をサポートするために会社を休んだのは、3人目の子が生まれる前のことでした。
「妻が第2子の育休を取得中に第3子を身ごもり、育休明けから産休に入るまで空白の1カ月間、子どもをどうするか、ということがありました。保育園にも入れず妻も職場を休めなかったので、じゃあ私が取りましょうと。子どもが1歳半を超えていたので制度上は育児休業を取れず、有給などを活用して15日間、休みを取りました」
当時、職場では同じ課題を抱えている同僚や後輩がいたこと、男性が育休を取れる雰囲気が望まれていたことから、休暇を取るにあたって不安は全くなかったといいます。
「育児はもちろん大変ですが、子どもとの時間はすごく気分転換になりました。幼稚園の長男が女の子に花をプレゼントしたシーンは、今でも印象に残っています」
さらに、妊産婦の死亡原因の1位は産後うつ等による自殺であるとの調査結果を紹介し、出産後に夫が休みを取り妻の産後ケアを行うことの重要性を訴えました。
また、働く母親の視点がわかるようになったことから、職場でも子育て中の女性の相談を受けるようになったそう。やがて会社の制度に疑問を持ち、社員代表に立候補、昇給制度の改正や育休期間の延長を実現するという成果を上げました。このような経験から、難波氏は「働き方改革は浸透している」と実感を語ります。
「ここはブラックだなと思ったら、自信がある人はやめます。優秀な人材が欲しければ、職場環境を整えなければというふうに社会情勢が進んでいます」
企業の選び方として、中途採用のサイトや平均残業時間をチェックすること、子育て支援策などの基準を満たしていることを認定する「くるみんマーク」の取得を確認するなど、就職活動に向けた具体的なアドバイスもありました。
最後に学生たちへ、「『イクメン』『働き方改革』『共働き』といろいろな言葉があるが、自分は何がしたいのか、どういう家庭をつくりあげたいのかは人それぞれ。自分たちならではのワークライフバランスをつくることが大切です。家庭に入りたい女性や共働きじゃない家庭を否定するものではない。女性が働きたいという意志を持ったときに、それを許容できる社会づくり、ダイバーシティが大切ということです」とメッセージを送りました。
鈴木教授は、「就職に関するアドバイスは学生の皆さんにとって役立つものだと思う。ご自身が家事を担い、パートナーも働くイクメンならではの貴重なメッセージをいただいた」と総括しました。
質疑応答の時間では、学生から「今後、どうすれば日本で、イクメンという言葉や活動が広がると思うか」との質問がありました。それに対して難波氏は、「共働きをしている家庭としていない家庭では収入に大きな差がある。高収入な共働き家庭が増えると、周りも影響されていくので、どうやったら実利を得られるかを考えていけば自ずと増えていくのではないか」と答えました。また、女子学生から「『時短』という制度を初めて知った。自分は将来子どもが生まれても仕事を続けたいので、そういう制度を利用しやすくなる社会にしていければ良いなと思った」との前向きな発言もありました。
授業終了後の学生のコメントカードには、「産後ケアの重要性を痛感した」、「就職活動中に見かけたくるみんマークは、会社選びにとって大事なものだと知った」など、講義の内容を自分事として捉えてくれた学生が多いようでした。女子学生からも「結婚して子どもを産んでも仕事を続けたいと思っていたが、難波さんのお話を聞いてさらにその希望が強くなった」など、自信の将来の仕事と家庭の両立に関するコメントが多数寄せられました。
「イクメンの星」による出前講座を信州大学で実施
社会に出る前の学生たちに向け、仕事と家庭の両立することの重要性について発信する大学出前講座。2018年度の第1回目は信州大学にて実施し、第4回「イクメンの星」新田 龍 氏など4人の講師が登壇しました。
実施概要
■日時 2018年12月4日(火)10:40~12:10
■場所 信州大学
■講師 深澤 佳代子 氏(信州大学 医学部保健学科 教授)
新田 龍 氏(第4回「イクメンの星」)
清滝 洋平 氏(信州大学 男女共同参画推進センター)
長坂 智恵子 氏(信州大学 男女共同参画推進センター)
講座内容
「看護管理論」の授業として展開された今回の講義では、はじめに深澤教授が、女性や看護職を取り巻く環境について解説しました。出産や子育てによる女性の離職率は減少してはいるものの、諸外国と比べてまだ高いこと、夫の平日の家事育児時間が長いほど出産後の妻が仕事を続ける割合が高いことなど、興味深い数値に学生たちも注目。「今増えている男性の看護師が家事育児に参加するためには、勤務形態の整備も重要」と、医療現場における職場環境の課題にも言及しました。
続いて登壇した新田氏は、現在は働き方改革総合研究所(株)の代表取締役として企業の環境改善に取り組む一方、かつては会社員として早朝から深夜まで働き詰めの毎日だったそうです。長女の誕生に伴い、妻に仕事を続けてもらうために退社、起業を決意しました。
「妻はとても仕事ができる人。そのキャリアを中断してほしくない。ならば自分が会社をやめ、時間と場所に縛られない働き方で子育てをサポートしようと覚悟を決めました」
しかしいざ子育てが始まると、自分では十分に手伝っているつもりでも、妻からは不満の声が。実際に書き出してみたという100項目ほどの家事育児のタスクを示し、「これを夫婦のどちらがやっているか色分けしたところ、妻の方が圧倒的に多かった。ぐうの音も出ませんでした」との言葉に、学生たちから思わず笑い声が起こります。
夫婦でコミュニケーションを深めて乗り越え、さらに時間に制約がある働き方が生産性向上にもつながったこと、地域での交流で視野が広がったことなど、自身の変化を語った新田氏。「子育てを通して自分育てをした、という感じがしました」という深澤教授の言葉に、「そうですね」と笑顔で締めくくりました。
次に、大学事務局男女共同参画推進センターの職員2名が、貴重な経験を語りました。
双子の父親である清滝氏は、信州大学の男性事務職員で最初に育児休業を取得。初めての子育て、しかも双子ということで不安を抱える妻と試行錯誤するうちに、相手を思いやる気持ちが深まったとのこと。「他者への配慮を高める育児の経験は、看護職で強みになる」と、学生たちにエールを送りました。
「私はイクメンをゲットした立場」と楽しく語ったのは、長坂氏。「結婚した当時、家事スキルは夫のほうが圧倒的に上。今は私が洗濯、掃除は夫、料理は2人でというように分けています。大切なことは相手への感謝」と、バランスのよいワークシェアリングのポイントを語りました。
講義の最後には質疑応答も行われ、学生たちから「親になっても最初から完璧なわけじゃない。そこから自分も成長してばいいんだと勉強になった」「イクメン効果によって経済が回れば、貧困の解決なども期待できると思った」「男性が育児休業を取得しやすい会社が人気になれば、ほかの企業も追従する。そういう良い流れができれば良いと思った」など前向きな感想が寄せられました。
「イクメンスピーチ甲子園2018」「イクメンフォト2018」を開催しました!
今年のイクメンスピーチ甲子園の決勝スピーチは、「イクメンフェス2018」内で開催しました。
イクメンプロジェクト公式サイトにて、育児と仕事の両立に関するエピソードを募集し、推進委員会での予選審査の結果、決勝進出となった3名が公開スピーチで競い合い、その場で優勝者「イクメンの星」を決定しました。
当日、会場にはたくさんの方が集まり、決勝進出者の熱のこもったスピーチや、審査員との育児にまつわるやり取りに耳を傾けていました。
また、同日、今年初開催のキャンペーン「イクメンフォト2018~育児!家事!パパの姿をツイートしよう~」の授賞式も開催しました。事前にツイッター上で募集した、育児の楽しさや大変さなどが伝わる写真・コメントの「スペシャルフォト賞」10作品を会場内に展示し、「ベストフォト賞」1作品を授賞式にて表彰しました。
開催概要
■日時 2018年10月20日(土)
13:00〜13:10 イクメンフォト2018 授賞式
13:10〜13:50 イクメンスピーチ甲子園2018 決勝スピーチ
■場所 二子玉川ライズ「ガレリア」
■プレゼンター・審査員
水内 猛 氏(スポーツキャスター)
大久保 清彦氏(『MADURO』編集長)
広中 秀俊 氏(第17回イクメンの星)
イクメンフォト2018 授賞式
【ベストフォト賞】子育てとーさん(@kosodate10_3)
「イクメン推進シンポジウム2018」を開催しました!
2018年10月18日(木)、ベルサール半蔵門(東京都千代田区)において「イクメン推進シンポジウム」を開催しました。
根本厚生労働大臣の挨拶で幕を開けたシンポジウムでは、「イクメン企業アワード2018」「イクボスアワード2018」の受賞企業・受賞者の方の表彰、取組事例の紹介に加え、男性の仕事と育児の両立や育児休業取得促進に関する理解を深めるためのパネルディスカッションを行いました。
パネルディスカッションの詳細はこちら
根本厚生労働大臣挨拶(抜粋)
女性が出産後も継続して活躍していくためには男性の育児参画が重要であるが、約7割の男性が育児を行っていないという現状がある。また、男性の育児休業取得率は近年上昇傾向にはあるが5.14%に留まっている。
本日のシンポジウムをきっかけとして、多くの企業や管理職の方にも受賞企業・受賞者の取組を参考にしていただき、働きながら安心して子供を育てることができる職場環境作りに繋げてほしい。
イクメン企業アワード2018 表彰式
両立支援部門
「イクメン企業アワード両立支援部門」は、男性の仕事と育児の両立を積極的に促進し、業務改善を図る企業を表彰するものです。6回目となる今年は、2社がグランプリに、2社が特別奨励賞に選ばれました。
イクメン企業アワード 2018両立支援部門 受賞企業(五十音順) |
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グランプリ | 株式会社サカタ製作所(新潟県) |
日本ユニシス株式会社(東京都) | |
特別奨励賞 | 株式会社京葉銀行(千葉県) |
田辺三菱製薬株式会社(大阪府) |
○受賞各社の評価ポイント
理解促進部門
今回新たに加わった「イクメン企業アワード理解促進部門」 は、男性が家事や育児に積極的・ 日常的に参画することを促す対外的な活動を行う企業を表彰するものです。初回となる今年は、1社がグランプリに、1社が特別奨励賞に選ばれました。
イクメン企業アワード理解促進部門 受賞企業 | |
グランプリ | 大和ハウス工業株式会社(大阪府) |
特別奨励賞 | 株式会社CaSy(東京都) |
○受賞各社の評価ポイント
- 大和ハウス工業株式会社
- 戸建て住宅の販売を通じ、家事、子育てを「家族ごと」としてシェアするライフスタイルを提案しており、家事や子育てを女性だけのものにせず、男性も当事者であることの理解を促進している。
- 株式会社CaSy
- 子育て世帯である訪問先において家事代行サービスを提供するだけでなく、男性に対して家事の伝授や相談に応じることで持続的な家事参画をサポート。専門性と個別対応力を活かし、家事と育児を「パパのもの」にしてきた貢献を評価。
イクボスアワード2018 表彰式
「イクボスアワード」は、部下の仕事と育児の両立を支援する管理職=「イクボス」を企業などからの推薦によって募集し、表彰するものです。5回目となる今年は、2名の方がグランプリに、2名の方が特別奨励賞に選ばれました。
イクボスアワード2018 受賞者(五十音順) | |
グランプリ | 株式会社ダイエー 四条畷店長 岩切 尚子氏 |
日本航空株式会社 広報部長 北原 宗明氏 |
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特別奨励賞 | リコージャパン株式会社 販売事業本部 山口支社 事業戦略部 部長 藤井 隆弘氏 |
株式会社技研製作所 東京総務部 部門リーダー 簑田 美紀氏 |
○受賞者の評価ポイント
- 岩切 尚子氏(株式会社ダイエー)
- 店長として、オペレーションの簡素化、顧客や従業員との対話を活かした売場変更などの業務改善に取り組み、営業利益の2年連続増益を実現するとともに、部下に管理職の仕事の楽しさを伝え将来のイクボスを養成している。
- 北原 宗明氏(日本航空株式会社)
- 突発的な業務が多く発生する広報部において、フリーアドレスの導入とペーパーレスの徹底に取り組み、時間外労働を大幅に削減し、年次有給休暇取得率を倍増させた。
- 藤井 隆弘氏(リコージャパン株式会社)
- 過去の様々な職種経験を活かし、特定の従業員が業務過多とならないよう仕事の再分配を実施するとともに、社外との連携にも素早く対応し、部下の仕事の円滑化に尽力した。
- 簑田 美紀氏(株式会社技研製作所)
- 女性が少数の職場環境において、産休前のテレワーク制度の導入、短時間勤務制度の利用促進、授乳室の設置に注力し、女性社員の復職率100%につなげている。
■駒崎 弘樹氏 総評(抜粋)
毎回多くの企業の方々にご協力、ご応募いただき、感謝申し上げる。そこから多くのロールモデルとなる企業が生まれ、その企業のノウハウや取組が横に広がっていくことを願っている。
様々な業界で「ウチの会社は特殊だから」と言われがちだが、そういった特殊性に甘えずに、様々なバックグラウンドがあったとしても改革・改善を諦めないイクボスの姿勢というのは、まさに日本の宝だと思う。
イクメンプロジェクトチャンネルも併せてご覧ください!
パネルディスカッションを「イクメン推進シンポジウム」で実施
今年度の「イクメン推進シンポジウム」では、「男性の育児休業が職場を変える」をテーマに、「イクメン企業アワード2018両立支援部門」グランプリ受賞企業のご担当者による取組事例の紹介、小室淑恵氏((株)ワーク・ ライフバランス代表取締役社長)および田中俊之氏(大正大学 心理社会学部准教授)による解説を交えたパネルディスカッションを実施しました。
受賞企業ご担当者からの取組にあたっての課題や効果などに関する率直な話を受け、小室氏からは、仕事の属人化の排除が生産性を上げていること、多様な社員がいることがイノベーションにつながっていく、といったご指摘がありました。また、田中氏からは、社員と直接話してニーズを汲み取ることの重要性や、妻の産後休業中に男性が育児休業を取得することの意義についてお話がありました。こうしたやり取りに来場者は熱心に聞き入り、終盤には来場者から多くの質問がありました。
概要
■テーマ
「男性の育児休業が職場を変える」
■コーディネーター
羽生 祥子 氏(日経W2編集長、日経DUAL創刊編集長)
■パネリスト
小林 準一 氏(株式会社サカタ製作所 取締役総務部長)
本間 美賀子 氏(日本ユニシス株式会社 組織開発部ダイバーシティ推進室長)
小室 淑恵 氏((株)ワーク・ライフバランス代表取締役社長)
田中 俊之 氏(大正大学心理社会学部准教授)
登壇者コメント(抜粋)
小林 準一 氏(株式会社サカタ製作所 取締役総務部長)
弊社ではかなり以前から育休取得を推進していたが、実際は2014年まで取得者はゼロ、2015年に2名が取得、翌年の2016年はゼロだった。そこで2016年末の全社集会で、本格的にスイッチを入れることとなった。
育休取得が進まない原因を探るべく、個人面談を実施。社員が「評価」と「収入」への不安をもっているということがわかり、その課題をクリアする仕組み作りを進めた。効果があったのは、三者面談と給与のシミュレーション。本人が「休みたい」という前の段階で本人と役員・管理職、推進部門の担当者との三者面談を実施し、上司が取得を促した。給与のシミュレーションでは、育休中の各月の具体的な金額を示した。評価については、イクメン、イクボスを全社員の前で表彰し、会社は本気であることを示した。社長からも、「育休を取得した社員を高く評価する」と宣言、そこから一気にスイッチが入った。
社長は「取組によって、業績が落ちても構わない」と言っていたが、2017年は前年に対して増収増益。工場の生産性も上がった。「育休を取っても大丈夫な強い組織」ということで、社員の連帯感、一体感も高まってきたと確信している。間違いなく会社の雰囲気はよくなり、社内のコミュニケーションも高まった。
私たちは町工場、いわゆる中小企業なので、人材の獲得にはとても苦労している。だからこそ、人材を大切にする環境作りの一環としてイクメン企業と言われることで、社員が活性化し、業績も向上するという、よいサイクルを作っていきたい。
本間 美賀子 氏(日本ユニシス株式会社 組織開発部ダイバーシティ推進室長)
お客様のシステムを構築、またクラウドやアウトソーシングなどのサービス・ビジネス等を提供する弊社では、こうした新しいビジネスエコシステムを進めていくためには風土改革が欠かせないと考え、3年前からダイバーシティ施策のなかで様々な取組を行っている。管理職向けの研修では男性の育休についてもしっかりとレクチャー、育休取得前後の3者面談を女性に限らず男性も含めて実施している。また、メルマガや昼休みを活用したオフサイト・ミーティングなどで、育休取得について情報発信・共有したり、社内イントラにロールモデルとして育休取得者と上司を紹介するなど、様々な形で情報を提供するようにしている。
施策だけでは難しい面もあるため、年に1回、全社員に向けて「ダイバーシティ・トップ・セミナー」と題する会を開催。その中で専務が「これからは男性社員の育休も取れるようにしていきたい」とメッセージを発信したことも追い風になっている。
いわゆる働き方改革というところでは、単に残業時間を減らしたり、連休を取って休むということではなく、時間的なゆとりを目指すものとした。弊社ではモーニングチャレンジといって朝の8時から1時間、社員が自由に参加し、新しいビジネスを考えようという試みを行っているが、毎回多くの社員が集まる。時間に余裕ができることでそういった新しい取組もでき、発想や価値観に好影響が出ている。このような取組を続けていくことで、育休取得も増えると考えている。
小室 淑恵 氏((株)ワーク・ライフバランス代表取締役社長)
株式会社サカタ製作所からは、取組の中で属人化排除が進んだという言葉があった。小林様がおっしゃっていた組織力、つまり何人かが急に抜けてもそれをカバーし合って、安定してクオリティの高いサービスを提供し続けられるような組織としての力を養っていくということは非常に大事。男性が育児休業を取得するにあたり、現在の仕事を見える化、共有化していくことが企業の生産性を上げる。育休取得のための取組が会社全体の生産性を上げるきっかけになっている点で、本質的な部分に着手されていると感じた。
日本ユニシス株式会社は、テレワークなど働く場所の柔軟性を高める取組を10年以上前から積み上げてきており、その中で属人化排除がなされている。現在は平均で73日の育児休暇を取得できているとのことで、まさにその積み上げが素晴らしい。
かつては、男性が休むと業績の低下につながると言われてきたが、本間様がおっしゃるように、働き方に余裕が生まれることで組織に新しい価値観が定着し、それが最終的にはイノベーションにもつながり、業績の向上につながる。経営者はよく「イノベーションを起こせ」と言うが、イノベーションは気合では起きない。社内に多様な人材の考え方があり、それが化学反応を起こし、それで初めて今まで見えていなかった市場に向けてアプローチしていくことができるのではないか。
田中 俊之 氏(大正大学心理社会学部准教授)
株式会社サカタ製作所の、「アンケートをしてみたものの実態がわからず、直接社員にヒアリングした」という施策は意義があると感じた。一般に、アンケートを回収した時点で社員のニーズがわかったことにしてしまい、そこから深堀りをすることがないケースが多く見られる。しかし、同社では膝をつき合わせて話をして、信頼関係が醸成されていく中で取組が推進されたということの意義を、我々はしっかり考える必要がある。
日本ユニシス株式会社は、何と言っても男性社員の平均育休取得日数が73日という点を高く評価したい。男性の育児休業も、量から質の時代。企業的にはPRになるから、「うちの企業は男性の育休取得率100パーセント」という企業も出てきているが、その内訳を見てみると、5日くらいの取得で「全員取っている」と発信するようなカラクリがあるところが少なくない。女性は出産後、6週間から8週間は身体を休めることに専念しなくてはいけない。そういう点から考えても、取得日数の長さというのは大事なポイントになる。
我々の社会では、平日の昼間に男性が家事、育児を主体的にやるということに対してまだ違和感を持たれている。企業の取組だけではなく、我々の社会がどうなっていくのかということとセットで考えていかないといけない。北欧は、30年かけて男女平等な社会を作った。我々が取り組んでいることの結果がわかるのは、まだ先の話。次の世代のためにやる気があるかということが、今問われている。
羽生 祥子 氏(日経W2編集長、日経DUAL創刊編集長)
最近は「ワーママ」が市民権を得て、働くママの罪悪感や本音なども言える時代になってきたと感じている。当初は女性の育休明けの疎外感というものがあり、ホワイトボードに自分の名前のワッペンがなくなっていた、という話もあった。現在、女性はそういったときに声を上げやすい風土、時代になってきていると思うが、男性は女性とはまた別のプライドがあり、本心を言いにくい状況になっているのではないか。このような部分を個人面談などで企業の推進スタッフがケアすることは、とても有意義だろうと思う。
今日は非常に濃厚な、そしてすぐに活かせるノウハウ、次世代や将来に向けての話などもあった。取組を発表していただいた2社に感謝したい。
イクメンプロジェクトチャンネルも併せてご覧ください!
「ファザーリング全国フォーラムinひろしま」でセミナーを開催
2018年9月7日(金)、8日(土)の2日間、「ファザーリング全国フォーラムinひろしま」が広島市にて開催されました。
「広島から発信!仕事も暮らしも欲張りなライフスタイルの実現」をスローガンに開催された今回のフォーラムには、企業、NPO、行政等の関係者のほか、一般の方々などが来場しました。
イクメンプロジェクトでも7日(金)に分科会を実施。男性の仕事と育児の両立支援に取り組む企業などに向けたセミナーを開催しました。
育休取得への経済的・業務上の不安に対してきめ細かな対応をしている。
経営者を筆頭に管理職の意識改革を進めており、男性従業員が育休を取得することを根付かせている。