プロジェクトについてイクメンプロジェクトの活動紹介

イクメンプロジェクトの活動レポートをご紹介いたします。

2023.3.15男性育休推進企業実態調査2022結果発表記者会見を実施

2023年4月から、改正育児・介護休業法により、常時雇用する労働者が1000名を超える事業主は、育児休業等取得の状況を1年に1回公表することが義務付けられることに先駆け、厚生労働省「イクメンプロジェクト」、株式会社ワーク・ライフバランス、認定NPO法人フローレンスの三者が国内の企業を対象に独自の実態考査を行い、調査協力の呼びかけに応じた141社の回答から得られた分析結果を2023年3月15日に記者会見の場で発表しました。

調査結果から明らかになったことは以下の3点でした。
①取得率は伸びているが、日数はばらつきがあり、「取るだけ育休」になっている可能性がある。
②「職場全体で働き方改革を実施している」企業の育休取得日数は、そうでない企業の約2倍だった。職場全体で業務の属人化を解消する働き方改革を実施しなければ、取得日数の伸びにはつながらないと思われる。
③当事者以外への情報提供の有無と取得日数は相関関係にある。育休取得への職場の理解や風土醸成 が取得日数増加へつながっている。

つまり、男性育休は取得率の向上だけでなく、取得日数を向上させるには「職場全体での働き方改革」と「当事者以外への情報提供」を行う必要があります。産後の妻の死因の1 位は自殺であり、その要因の「産後うつ」のピークの時期である産後2週間から2か月の時期に夫が育休を取得することが出来れば、妻と子どもの命を救うことにつながります。だからこそ男性の育休は重要です。
また、第一子出生の際に夫の育児・家事時間が長い家庭ほど、第二子以降が生まれており、実際の 家事育児参画時間が少子化改善にとっても重要です。
イクメンプロジェクトとしては男性育休の本来の目的から考えると、数日だけの育休取得 では本来の役割を果たすことが出来ないということから、取得率のその先にある「取得日数」に対しても注目しています。今回の取得率公開は、人材獲得競争において自社の優位性を示し、優秀な 人材を惹きつけるために非常に重要な鍵となることは間違いありません。 それだけでなく、株主・投資家に対して、優秀な人材の獲得と満足度向上を通じてサステナブルに 成長し続けられる企業であることを示し、積極的な人的資本投資の姿勢と成果を見せていくことが経営戦略として待ったなしであると言えるでしょう。

『男性育休推進企業実態調査』の結果発表

2023年4月1日から従業員1,000人超の企業に義務化となった「育児休業取得率等の公表」をPRするため、「男性育休推進企業実態調査」の結果公表や育休取得経験のある男性アナウンサーのエピソードを披露する記者会見を開催しました。

主な内容

日時
令和5年3月15日(水)13時~14時
会場
厚生労働省会見室
登壇者
厚生労働省雇用環境・均等局職業生活両立課長 菱谷 文彦
【イクメンプロジェクト推進委員会委員】
駒崎 弘樹 氏(認定NPO法人フローレンス会長)
小室 淑恵 氏(株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長)
【司会:男性育休取得経験者】
蓮見 孝之 氏(株式会社TBSテレビ アナウンサー )
参加対象者
報道関係者
内容
①加藤厚生労働大臣メッセージ
・改正育児・介護休業法等の概要
・令和5年度育児休業取得率の調査結果(雇用均等基本調査結果)のポイント
②「男性育休推進企業実態調査」結果発表
・男性の育児休業取得率・取得日数等の上位企業の紹介
・男性育休推進に有効な取組の解説
③質疑応答
④フォトセッション

会見動画



会見資料

2022.9.1男性の育児休業取得促進シンポジウムを開催

改正育児・介護休業法による「産後パパ育休」(出生時育児休業)等の2022年10月1日からの施行に向けて経営者、企業や労働者を支援する立場から具体的な考えや先進的な取組みを紹介する「男性の育児休業取得促進シンポジウム」を2022年9月1日(木)にオンラインで開催しました。

政府は、男性の育児休業取得率を2025年までに30%以上にするという目標を掲げ取組を推進しています。企業、労働者がどのように考え、取り組むことが有効か、シンポジウムでは、改正育児・介護休業法の解説と先進企業等の事例紹介、パネルディスカッションが実施されました。 参加者からは、「人事担当として法改正への対応を第一に考えていたが育休をきっかけに広い視野で考えることができた」「具体的なアプローチの方法がわかった」「夫に聴かせたい」などの声が聴かれました。

育児休業を取得しやすい職場環境

男性の育児休業取得促進について、多くの企業へのコンサルティング実績を持つ(株)ワーク・ライフバ ランス 代表取締役社長 小室淑恵氏は「管理職、本人、同僚それぞれの理解が必要」と訴えます。「産後 うつ病のリスクは産後2週間~1ヶ月前後がピーク。妻と子どもの命を救うため夫の育児休業が必要。また、この時期の夫の育児参加・感情の共有は、人生100年時代の夫婦のあり方に大きな影響を与える。」と本人だけでなく管理職・同僚にも説得力があるアプローチを紹介しました。また、北海道・札幌を中心に「パパ育休プロジェクト」などの活動をしており自身も育休取得経験のあるビジティア代表藤村侯仁氏が「(育休中は)育児よりも家事の戦力として求められることも多い。」と述べ、育休中の育児・家事への関わり方、事前準備の必要性についても意見が交わされました。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事徳倉康之氏は、同法人で取組を進めている「企業版両親学級」の取組を紹介。「私の世代から学校教育で男女とも家庭科が必修になるなど、働く人の意識もバージョンアップしている。『制度があっても風土がない』企業は生き残れない。」と企業が取り組む両親学級の推進を訴えました。

育児休業中の収入減について

育児休業をとらなかった理由として「収入が減る」という声も多くあります。 この点、2018年に男性育休100%取得を達成・継続中の(株)サカタ製作所代表取締役社長坂田匠氏は、「育児休業中の収入をシミュレーションしたものを総務から本人に提示して育休取得を促している。(育児休業給付や社会保険料免除により)それほどマイナスにならないことが分かる。」と自社の取組を紹介しました。徳倉氏からは「長い人生のキャリアを考えた場合、育休の取得により夫婦で長く働くことの経済的効率性も考えては。」との発言があり、藤村氏からは「育休取得は、それ(給与)よりも得がたい価値がある。」と実感のこもった意見が述べられました。

経営者・管理職の理解

男性の育児休業取得については、2021年度13.97%と低い取得率が示すように、年配の世代には理解されにくいという声もあります。坂田氏は、業務の属人化解消の取組により、残業ゼロや男性の育休取得を進めた結果、「誰も関心を持たない金属屋根の部品メーカーにどんどん優秀な人材が応募してくる。」と採用活動における優位性、コスト削減をアピールしました。管理職へのアプローチについて、小室氏は「上司の世代の働き方を否定しないことが重要。当時は長時間働く、育休は考えられないというのが正解だった。でも、今は育休をとるのが当然。時代の変化を理解してもらう。」と述べました。また、2023年4月からの育休取得率の公表については、就活サイトや雑誌での取得率ランキング企画等、来春の採用活動における大きなムーブメントになることが見込まれるため、今から取り組む必要性を強調。有価証券報告書への記載に向けた動きなども踏まえ、経営者層がコミットする重要性を訴えました。

誰が休んでも回る職場づくり

育児休業の必要性・重要性は理解できるが、それでも業務が回らないから困るという声もあります。 (株)サカタ製作所では、残業ありきの業務を見直すとともに、マニュアル化・ローテーション化により業務の属人化を解消。誰が休んでも対応できる体制を構築しています。坂田氏は「怪我や病気で急に社員が休んでも企業活動は止まらない。育休は事前に準備ができる。トップが強い決意をもってやり抜くことが必要。」と述べました。参加者からの「事務職と現場職で違うのでは?」との質問に対して、「違いはない。」と断言。「違いがあるなら(業務見直しにより)生産性を上げるチャンスと捉えて知恵を絞るべき。」と取組の自負を感じさせました。小室氏からも「日々の情報共有、業務の可視化を称賛することも重要。」と述べ、業務の属人化解消に向けた個人の意識改善の必要性を述べました。徳倉氏は「子どもがいる人だけの特権ではなく、働く人全員が働きやすい制度・環境を考えなければならない。」と、育児だけでなく様々な事情を抱えた全ての人に向けた制度の構築・運用をしていく重要性を訴えました。ファシリテーターを務めた認定NPO法人フローレンス会長駒崎弘樹氏からは、「男性が育児休業をとるのがあたりまえの職場になれば、コロナ対応にも強い、イノベーションにも勝てる組織をつくることができる。法改正がゴールではない。」と今後の取組に向けて力強いコメントが述べられました。

男性の育児休業取得促進シンポジウム

2022年9月1日(木)に、経営者、企業や労働者を支援する立場から具体的な考えや先進的な取組みを紹介するシンポジウムを開催しました。

シンポジウム動画

ダイジェスト動画

シンポジウム資料

プログラム

第1部
・男性の育児休業取得率の公表に向けて 厚生労働省
・事例紹介
 誰が休んでも回る職場づくり 坂田匠氏
 企業版両親学級の取組促進  徳倉康之氏

第2部
パネルディスカッション
育児・介護休業法の改正や第1部の事例紹介を受けて、それぞれの視点から男性の育児休業取得促進に向けた意見交換を行います。

コーディネーター

フローレンスグループ会長CEO
認定NPO法人フローレンス会長
イクメンプロジェクト推進委員会委員
駒崎 弘樹

「地域の力によって病児保育問題を解決し、子育てと仕事を両立できる社会をつくりたい」と考え、2004年にNPO法人フローレンスを設立。病児保育事業のほか、小規模保育事業、障害児保育事業などを通して、親子をとりまく様々な社会課題の解決に事業と政策提言で取り組む。現在、内閣府「子ども・子育て会議」委員等を務める。一男一女の父であり、子どもの誕生時にはそれぞれ2か月の育児休暇を取得。

パネリスト

株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長
小室 淑恵(こむろ よしえ)

ワーク・ライフバランスコンサルティングを2000社以上に提供し、労働時間の削減や有給取得率の向上だけでなく、業績の向上、社員満足度の向上、自己研鑽の増加、企業内出生率の向上を実現。長時間労働体質の企業を生産性の高い組織に改革する手腕に定評がある。「産業競争力会議」民間議員など複数の公務を歴任。「WLBコンサルタント養成講座」を主宰し、1600名の卒業生が全国で活躍中。 私生活では二児の母。

株式会社サカタ製作所代表取締役社長
坂田 匠

大学卒業後、ロボットシステムを開発する企業へ入社し経験を経て、1985年にサカタ製作所に入社。営業部門の陣頭に立ち、国内のマーケットのトップシェア企業に成長させた。1995年代表取締役社長に就任。2015年から働き方改革に取り組み大きな成果を上げている。2018年には男性の育児休業取得率100%を達成し、現在も100%を継続中。

NPO法人ファザーリング・ジャパン理事
徳倉 康之

香川県高松市出身。2009年に長男誕生後、勤務医として働く妻と互いにキャリアや働き方を相談し、8ヶ月の育児休業を取得。働き方・意識の大きな変化が生まれ家庭を重視し、効率的な働き方をする事で業績にも連動する事を経験。後に次男・長女と生まれそれぞれに3ヵ月の育児休業を取得。現在は内閣府子ども子育て会議委員、内閣府男女共同参画連携推進会議有識者議員、高松市特定事業主行動計画アドバイザー等を務める。

ビジティア代表
藤村 侯仁

システム開発企業でエンジニアとして勤務しながら、第1子誕生後に延べ5ヶ月間の育休を取得。2016年から、ワーク・ライフ・バランス、働き方改革、男性の育休と家庭活躍の講師として活動を始めて今に至る。2018年、札幌市内で育休を取得した男性経験者らと共に「パパ育休プロジェクト」を立ち上げ、父親の仕事と育児の両立や夫婦パートナーシップの支援、男性の育休取得推進に取り組んでいる。

お問い合わせ

イクメンプロジェクト事務局(厚生労働省委託)
E-mail:info@ikumen-project.mhlw.go.jp
電話番号:03-5913-6085

当サイトは、厚生労働省雇用環境・均等局の委託事業として
実施しているものです。